7年ぶりの上海訪問〜日本が世界から取り残された原因を探る〜

2012年以来、7年ぶりに上海に行ってきました。
今回は旅行ではなく、「海外視察」です。
現地上海の経済人の方とお目にかかって、上海経済事情の生の情報を見て、訊いてきました。

上海はこの7年間でマナーが大きく改善。エスカレータを歩く人は皆無

7年前に来たときは、道路は車のクラクションがうるさくて、道路を歩くのもタクシーに乗るのも苦痛でしたが、今は車のクラクションの使用が規制されたそうで、静かな街に変化していました。

電動バイクは7年前と変わらずたくさん走っていて、7年前も今も、エンジン音はほとんどありません。こちらはクラクション自由ですし、それほどマナーは良くはありません。歩道を走って、歩行者にクラクションを鳴らす電動バイクも見かけました…

一番マナーがすごいと思ったのは、エスカレータを歩いている人が皆無だったこと。7年前はどうだったか覚えていませんが、日本のエスカレータの乗り方と比べると、遥かにマナーが上です。日本も上海を見習う必要があると思いました。

あとは、地下鉄で、旅疲れした我々日本人に席を譲ってくださる方がいらっしゃいました。清々しいですね。

【7年前にはなかった「シェア自転車(レンタル自転車)」が沢山ありました。
スマホ決済ができて、乗り捨て自由なので、とても便利そうです。】

外国人旅行客にはそれほど優しくないキャッシュレス

上海はキャッシュレスが進んでいて、現地日本人の方は「数ヶ月前に現金を引き出して、ずっと財布に眠っている」と言われていました。

ただ、キャッシュレスが使えるのは、「ウィチャットペイ」「アリペイ(アリババペイ)」「ユニオンペイ(銀聯カード)」に集約されており、日本で発行されるクレジットカードは、外国人観光客をターゲットにした店でしか使用ができません。
これらのサービスは中国系の銀行口座を持たないと作れません。
銀聯カードは、日本の一部カード会社では発行できますが、数年に1回しか中国に行かない方にとっては、作る必要性を感じないでしょう。

上海(浦東)国際空港のマクドナルドに行きましたが、英語は通じず、クレジットカードも使えず(上記3つしか使えず)でした。英語が通じたのはスターバックスコーヒーだけだったように思います。

というわけで、我々日本人は、上海でキャッシュレスを楽しむことは、なかなかハードルが高いです。

世界一大きなスターバックスコーヒーを訪問

今年2月にドバイに行った際には、イブンバトゥータモールの「世界一美しいスタバ」を訪れましたが、上海には「世界一大きなスタバ」がありました。
2フロアがすべてスタバです。

外灘(わいたん)の夜景もレベルアップ

7年前に見た外灘の夜景も綺麗でしたが、香港の夜景に習ってか、今回さらにパワーアップしたように感じました。エンターテイメントに対する支出を惜しまない姿勢を感じました。

アリババが経営するスーパー・盒馬新鮮(フーマーシェンション)

アリババが経営するスーパー「盒馬新鮮」に行きました。
新鮮な海の幸が売られているのが最初の印象です。
水槽の魚をすくって買い求めるお客さんを見かけました。

私はオンライン注文での宅配の仕組みに興味を持ちました。
ネットで予約すると、店員さんが宅配用カバンを持って商品を集め、写真のようにベルトコンベア式にカバンを運んでいく仕組みになっています。
この後、いわゆる「運び屋」と言われる、街中をバイクで走っている個人経営の宅配業者にカバンを渡して配達してもらう仕組みだそうです。

朱家角(しゅかかく)

上海近郊にある水郷古鎮として有名な朱家角に行きました。
明・清の時代からの懐かしさを感じる古い街並みが楽しめます。
三国志の時代から既に村が存在していたとのことです。
岡山の倉敷美観地区になんとなく似た景色です。

静安寺

こちらも創建は三国時代といわれるお寺「静安寺」を訪ねました。
中国らしいお寺の雰囲気を楽しめます。

世界で2番目に高いビル 上海タワー(上海中心大厦)

今年2月には世界で最も高いビル、ブルジュハリファ(828m)に登りましたが、今回は、世界で2番目に高いビル「上海タワー(上海中心大厦)」に登りました(632m)。これで今年、世界1位と2位を制覇できました!

リニアモーターカー(マグレブ)はやはり速かった

今回もリニアモーターカー(英語名:マグレブ)に乗りました。
往路は最高時速301kmで日本の新幹線とそれほど変わりませんでしたが、復路では最高時速431kmが表示されていました。
ほんの7分程度の移動ですが、往路と復路とで、スピードの違いを体感できました。

まとめ 〜日本が世界から大きく取り残されてしまった原因は〜

今回の上海視察は、日本の「失われた20年」「失われた30年」の中で、日本が世界に大きく取り残されてしまった原因を探る上で、多くの学びを得ることができました。

国連が発表した世界各国の成長率ランキングを見ると、過去22年間で成長していない国は、紛争国リビアと日本だけ、という結果であり、いったい日本で何が起こったのか。

日本の大きな弱点は「意思決定の遅さ」との指摘をいただきました。
今回訪問した中国と比較するのは良くないと思っていたのですが、私の考えは間違っていました。
国家体制が関係しない「民間企業」においても、「意思決定の遅さ」が弱点になっています。

日本の民間企業の意思決定の遅さの原因の一つは、全員意見が一致するまで意思決定できない「稟議制」の仕組みです。メリットもあるとはいえ、責任の所在を曖昧にできる仕組みですので、責任を取りたくない人にとっては止めたくない仕組みです。
また、「権限移譲」が進んでいない、権限移譲ができていない企業も意思決定が遅れます。

これからは、意思決定の早い中小企業にとっては大きなチャンスが到来するものと思われます。
逆に意思決定の遅い中小企業は大きな困難にさしかかります。

「働き方改革」の言葉を誤解することなく、いかに自社の意思決定スピードを早めて、生産性向上を並行して進めていけるかが、これからの経営のカギを握ると感じました。